暮色界隈/salco
 
 駘蕩暮色

百年が行き交うカーブ清水坂
対岸に獅子の吼声鷗外荘
少壮の精鋭(エリート)双眸ナカータ似
嫡子あげ「不器量」御姫(おひい)返納す

くちなしの哀れ赤松登志子かな
坂下にありき足拭き女せき
かじかんだ指の行き暮れ池の端 
エリーゼもひとり築地は精養軒

坂下 …文京区根津


 文教暮色

衛生観 御身の狆も懐紙越し
「雨しょぼ」と芸妓厭悪し妾さえ
後添えも差配母上(ははうへ)家事総裁
惚れたのは二十三歳 妻(さい)の方

学のみを喜びとすと言う良人(小倉)
ただいまとサアベル鳴らしチュウなどす(
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