詩人/
kawauso
僕は詩人になりたいのです
春なのに溶けるほどない雪や
夏の蒸しタオルのような暑さを
東京の君に伝えるだけの
詩人になりたいのです
谷川さんや吉野さんの詩には憧れますが
僕にはそれほどの才能がなくていいのです
「ねえ、何か面白い話を……」
電話越しのそれにこたえられるだけの
詩人でいいのです
君のいない部屋はさびしすぎて
エアコンだけが一人でしゃべっています
静かな部屋は考える僕に
詩人になれと言います
あなただけの詩を書けと
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