ルイード/番田 
 

すべての人はどこにもいないものだと私は思っている
素晴らしい 遠くに見える風景は 幻みたいだ
何だろう そこで あまり 素晴らしくないものは
ああ それは 私自身の姿なのかもしれない


そんなふうに思いながら 今日も いつもの坂道を下る
誰でもないままに流れる 街並みの中を
自分が 誰であるとも 気づけないままに 流れる
この流れは いつまでも 止まることはないだろう
流れる光のようなものを 目の中に見つめながら
私は魚のように死んでいくのかもしれないと思った


ぼんやりと川の中を流れていた
銀色をした魚たちの姿を 頭に見つめながら
いつまでも私は流れた

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