冬の庭で/いねむり猫
なたにさし伸ばされ
私の吐息は 時々 あなたの髪を揺らす
季節は 静かに巡り 木々の葉が色づき 落ち葉となり
私はあなたの肩から雪をそっと払い落とし
もうすぐ 新たな芽吹きが凍った地面を割るのだろう
私は 死んでいるのかもしれない あなたの記憶では
あなたは 私が触れていることにも気付かない
それでも かすかな梅の花の香りに 顔をかしげ
あるいは わずかな冬の日差しに目を細めている
車椅子は あなたの足にはなれないけれど
私たち二人の 静かな時間をゆっくり ゆっくり回している
この冬の庭で
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