大きなフジツボ/洋輔
どこへ行ってどこへ帰るのか
俺らの居場所はどこにもありはしない
今生きているのかあるいは死んでいるのか
それさえも俺は知ることができない
まるで黒い海にのみこまれてしまいそうになる
俺の体はくだけ散り波にさらわれていく
帰る場所のない野良犬のように
俺は岩の上にたたずむだけ
俺の存在する意味は
この俺のこの心だけ
ほかには何もない
けど他には何もいらないさ
理由を欲しがるほど俺は小さくない
今ここに俺がいて心があり
今ここに海があって波がくる
帰る場所のない野良犬のように
俺は岩の上にたたずむだけ
それでいいさ
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