循環/霜天
指先は弾く、のではなく、なぞると気付いた時。
あらかたを空に投げてしまったあとで
積み残したことばかりだと気が付いた
目覚まし時計は止まらない
明日の朝には、起きなければならない
予定ばかりの手帳から
確定事項を抜いていくと
不思議と軽くなれる気がする
手ぶら、になろう明日の朝には
胸を開いて脱ぎ捨てていく
見せるものなど何もないのに
指先、はなぞる縁、をあなたの背中を。
ねえ
予定調和の時間の遅れを咎める人が何度もいたけれど
あれは何処からが嘘、で
何処までが答えなの
積み残しだらけの私の部屋を
爪先、で寄せていく
見て見ぬ振り、するわけではないけれど
窓まで寄せて、一気に流す
蛇口の栓を思い切り捻る
私から零れたわたしが高いところをめぐって
明日には誰かのコップの水滴に混じっている
それは素敵なことだね、とか
冬の底に
寄り添って、笑う
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