無題/モリー
 
込んでいた。反重力装置の話、宇宙の広さ、時空の個数など沢山情報交換をしたが、一番興味深かったのは二人ともから上記の考えを自分もしている、と聞いたことだった。彼女達も風呂場などの密室に入ると自分が居る空間以外は無い(闇が広がっている)のではという恐怖を日々味わってきたと言う。アメリカ人の子供の話も、多少違ったが似たようなことを思っていたらしい。私達は互いに「今生きてる?」「今生きてると聞いたあなたは本当に居る?」とか言い合って三人で笑って帰った。

私は怖い。
知覚の限界が世界の最果てであったら……。

私はテレビの電源に手を伸ばし、ポチと、赤を緑に変えた。


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