それは間違っている/花形新次
 
君は僕と出会ったとき
僕の鼻を見ていたよね
ずっと
ずっと見ていたよね
気付いていたさ
君の視線は話をしていても
僕の顔の中心から外れることはなかったもの

確かに僕の鼻は
日本人にしては大きい方さ
デカッ鼻くんさ
でもね
初めての夜
僕のアレを見て
あんなにあからさまに
失望感を表情に出すのは
酷いと思うんだ
そして君は
最後に僕に言ったよね
「この詐欺師!」

鼻の大きい人は
アレも大きいだなんて
そりゃそういう人もいるだろうけれど
全部が全部ってわけじゃないんだ
どっちかというと迷信さ

どこで仕入れたか知らないよ
ただその知識は間違っていたんだよ
君の期待は根拠のないものだったんだよ
それは間違っていたんだよ



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