ZONE/天野茂典
枯れ枝に烏の止まりけり秋の暮れ
とまってしまった歳月 芭蕉のように
暮れることもできないで バスの明かりに
たちどまる ポランスキーよ
湖に水没したナチスの戦闘機 薄い水の膜を
向こう岸まで歩いて 渡れるか
ZONEにはいることは 許されない
特別な人間だけだ 山を見た
鹿は見ない 炭鉱労働者のように軌道を走って
異次元にまぎれこむのだ いつも水が溢れていた
焔が強烈だった 火と水
烏はどこで水を飲むのだろう 芭蕉は江戸幕府の水道局に勤めたが
それで古池やの一句が読めたのだろうか 芭蕉の功罪は
庶民の
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