友/nonya
 
と醤油と濃密な時間の
芳ばしいにおいをまとった
背中や背中に
「気をつけて」
「ありがとう」

再び
甘酒横丁をまっつぐ歩く

温まった腹と胸を
フラリフラリと揺らしながら
上機嫌な革靴が
路上に陽気なリズムを刻む

行く手にどんよりと横たわる
浜町河岸の暗闇に
友の笑顔を灯しながら
心地よく北風を受け止める

「また今度」
「もう一回」

つぶやく先では
野暮な地下鉄の入口が
暗闇の中にポッカリ口を開けて
凍てついた光を垂れ流していた


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