君が眠る為の眠れなくなる話/うめぜき
眠れないのかい
そうかそれならば、そばにいて、少しだけ先々の話をしようか
いつかね
君は誰かを裏切る
すると口の中が深く深くざらざらしていって
乾いていくんだ
その人の歪む顔や罵る声が深く、刻み込まれて
君は膝小僧を擦り剥いた時のように
わんわんと泣くだろう
それはそれはとても怖いのだよ
いっぱい泣いておくといい
そばにいられないけれど
そばにいるよ
ある日になれば
君は誰かに恋をするだろう
そうして恐々とくちづけるのだろう
それはきっととても下手なくちづけだ
その下手さ加減が恥ずかしくなって
一生残るよ、それとね
その人はいつか必ずいなく
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