黒い鳥/アンテ
 

涙をぬぐって
窓と枠のわずかなすき間を
テープで何重にもふさぐ
危なかった
もう少しで食い破られるところだった
鳥はどんな小さなすき間も見つけだして
部屋のなかに入ってくるから
声を押し殺す
めそめそ泣くのはもうよそう
窓ガラスの向こう側
黒い鳥たちが
背の高い樹の枝にびっしりと止まって
こちらを監視している
息が苦しい
手足がしびれる
きっと部屋が完全ではないことを
敏感に感じ取っているのだろう
部屋を見回す
もう一度たんねんに壁や床を確かめる
小さな傷や裂け目を全部ふさいで
これで大丈夫
穴はひとつもない
だれも入ってこられない
ほっとした途端
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