くろっく/ねなぎ
制御するように
その多大な情報量を
処理するように
男は少し
寂しそうな顔をして
話を切り上げると
黙々と自分の作業に
戻り始める
私は又
壁掛け時計に目を移す
ねじ式から
電気式になり
歯車から
基盤へと変わり
アナログから
デジタルとなるに連れて
タイムカードと
連動して動作するようになった
しかし
内部がいくら変わり
人が流れ
人事の形態が変わっても
刻み続ける針のように
変わらぬ文字盤のように
必要とされる
技術がある限り
老朽化し
機能に支障をきたさぬ限り
男は刻み
話し続け
私は伝え
聞き続ける
戻る 編 削 Point(1)