くろっく/ねなぎ
 
時計の針が動くのを視認する


そして
私は自分の用件を告げるために
その男の
半生の話を聞かなければならないのだ

身に積もり
行き場の無い
知識と
技が
行き場を求める

詰まる所
その男の話とは
自分が如何にに優れた功績を
残してきたかと
自分が如何に苦労を重ね
生きてきたかの
二種類でしかないのだ

日々積もり
連なる
刻まれることでしか
伝わらぬものが
答えも無く
繰り返される

しかし
私は目の前の男の語る
昔話にしか過ぎぬ
前世代の軌跡が
嫌いでは無い

積み重なり
崩れ
再構築し
骨に染み
過ぎて
痣に
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