シリンジをもつ自画像/魚屋スイソ
 
排出するのは,真夜中に煮詰めた侮蔑心が,沸騰して生じる瘴気だ. かれは無心にかきむしっている 声をかけたが友達にはなれなかった. 排水溝になにものかが詰まる 溢れはじめる

読みおえた小説をきざんだ. ミルクをかけて スプーンですくって (主人公と) 文字は肉体を構築し活動させる 血液がジェット機よりはやく廻っている モノクロームで印刷されたショッキングピンク 憧憬と劣等 魚の瞳 シャンプーハット博士の対談が載っている. フォーク:右から二番目の棘が伸びはじめてとまらない ナイフ:酸性 ブルーベリージャムを眼鏡に塗る おれと青ざめた世界

バルトリン腺液に漬けられた標本が並ぶ 袖を通す/襟を正す 凍えそうな電磁波が逆流して 巨大なシリンジの針から,地下室の成分が噴出される. 水面を埋めつくす金魚の死体に餌をやる 獄舎からの歌声がやまない. 紫の蜘蛛の巣にからまった,血管か眼球か詩人の苦悩/濡れた閃光 足鰭を装着し 家を出る (ノックを二度したが留守だった) おれは穴のあいた金属片だ 両の耳から冷たい液体が滴る 研ぎ澄まされて
戻る   Point(5)