あなたはあなただ/真島正人
あなたはあなただ
小さな町の
夜の路地を
うろつきまわる
寂しくって仕方がない
土の匂いを携えて
遠くの駅では
手持ち無沙汰で
違う国の言葉を
しゃべってた
あなたはあなただ
ずっと前
初めて都会に出てきたときに
見知らぬ乞食に
声をかけられ
小さなお金を
ねだられた
夢を追ううちに
幻は膨らんで
正義という服を着た連中が
それを眠らせてしまったよ
あなたは
さっきからずっと
手のひらをじっと開いて
それを見ている
何が見えるのかは
聞かないよ
白州の
水割りにしたグラスの氷が
次々に溶けていく
大げさなことを
しゃべりすぎ
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