なゐ/yumekyo
 
ろと
自衛隊を追い返す市民団体が居るから気をつけろ
灯りのない夜がやってきて
忌み嫌われた野良猫はすっかり影を潜めて
かわりに野良犬の遠吠えが月夜に殷々と響き渡る
着の身着のままの体で
肩を寄せ合って怯えた

心に修復不可能なほどの大きな楔を打ち込まれて
疼痛にのた打ち回る日々
それでも前に進まなきゃいけないことに
気付く
挨拶もしたことがない隣人と手をとった
おはよう こんにちは おつかれさん
慣れない手つきで瓦礫を取り除いて
焼け跡をきれいに掃除して
嗚呼 ここで毎日寝起きしていたんだって
つぶやいては 冬空を見上げる
あの
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