冬の眷属/たりぽん(大理 奔)
 
えた
トンビも消えた
クスノキも消えた
イチョウも、
消えた
(こんなにも荒くれた季節をとおり抜けて)

それでも透明に埋もれた
凍えたわたしのこの胸をとかそうと
あなたはbourbonを湯で割って
少し細身のグラスに注いでゆく
湯気のような雪煙にむせる

(カモメも消えた)
三連風車も消えた
灯台の灯りも消えた
滑走路の星座も
路地裏の看板も、
消えた

蟹漁船が眠りにつくころ
それでもわたしは逃れるように
家路につこうと雪を踏むと
小さな悲鳴たちが
この胸を、また凍えさせる




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