冬の眷属/たりぽん(大理 奔)
寂しかった日のように
ひと晩で降り積もった雪が
きれいな景色だけを水銀灯に貼り付ける
夜明けすら凍らせようと
港では恐ろしいものが渦巻いている
(賀露の蟹漁船は眠りにつくころ)
わたしを捕らえて縛り付けようと
激しく涎を風に散らせながら
獲物を隠そうとする冬の眷属の影
雪起こしの稲妻があぶり出す
家路につくわたしの足に絡みつき
(寂しかった日のように)
こんなにも荒くれた季節をとおり抜けて
このまちを離れるということは
温かい笑顔と音楽から逃げだし
冷たく掴まれた足首がしびれても
足跡が吹雪にかき消されても
(わたしを捕らえて縛り付けようと)
カモメも消えた
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