Black and Blue/ホロウ・シカエルボク
 
冬が這い上がってくる、それはフィジカルな放電を要求する。けれど闇雲に電圧なんか上げるべきじゃない。時々は血流にウンザリして背もたれに身体をもたせたままでいる。休日。誰が何を休んでいる。これで休めると思ったことがない。なにかが終わればなにかが生まれてくる。生殖器官が活動し続けるウミガメの尻みたいに。価値と無価値がそれぞれに立ち位置を躊躇っているようなものがぽろぽろとぽろぽろと零れ落ちてくる。指の間から…指の間から落つるものとは、本当はそれのことではなかったのか?すでに逝ってしまった者はなにも語ることがない。必要以上に権威と純粋を張り付けられて、居心地の悪い神みたいに記念されている。やつらだってきっと時々は陰茎を握りしめていただろうにさ。ブラウン管とは相性が悪い。今日はまだ何も見てはいない。カーテン越しに日常が段々と照射を強くする。もうすぐこの心はその光に誘われて、哀れな虫のように街に彷徨い出るのだ。

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