夢が虫食いにされていた/真島正人
{引用=
存在しないがゆえに
存在する
いくつもの
点滅する
沸点がないがゆえに
沸騰する
常夜灯のような
壁の
傷跡のような
おもむろに、
見つけてしまった
壁の
傷跡のような
筆跡の
残り香を
携え
取り替えることへの
怯えが
まだ記憶され
酔い、
ふらついて歩き
小さな
ガラス細工の商店を
くぐり、
ふいに
頭上で、
街燈が
照らしたので、
見た
記憶の海
※
ふれあえる
だけでよかった
と、
女の
情念
繰り返し
陰り
写し取られ
陰惨になり
太陽から
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