夢が虫食いにされていた/真島正人
 
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存在しないがゆえに
存在する

いくつもの
点滅する

沸点がないがゆえに
沸騰する

常夜灯のような

壁の
傷跡のような

おもむろに、
見つけてしまった

壁の
傷跡のような

筆跡の
残り香を
携え

取り替えることへの
怯えが

まだ記憶され

酔い、
ふらついて歩き
小さな
ガラス細工の商店を
くぐり、
ふいに
頭上で、
街燈が
照らしたので、
見た

記憶の海



ふれあえる
だけでよかった
と、
女の
情念
繰り返し
陰り
写し取られ
陰惨になり

太陽から
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