アンビバレンス/ayano
ろん世界の中も知りはしない。汚穢に類似する関係を持ち、生まれてくるものが白濁色で、涎を垂らした。恋をした理由はない。飲み込むと、飴玉程度の膨らみはくちくちと反応したが、至福のひとときだった。その日はできなかった。飴玉ははるか遠くで疼き、花火のように消えた。超自我の崩壊と、口から子が吐き出されたのが同じ瞬間だったのが幸か不幸はまだ知る由はない。ナイフで切り開けると赤い液体が流れた。ずっと精液の雪を想像していたものだから、眩暈がした。舐め取ったあかを口移ししても、涎はでなかった。死ぬのかと思った。死ぬのは赤子のほうだった。さくりとナイフを通して血が流れるのでそれを食料とした。いつの間にか精液が必要なく
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