フリース/森の猫
シャワーを浴びてこいよ
先に寝ていたあたしに彼は言った
それが
何の合図なのかわかっていたから
のろのろとあたしは
シャワーを浴びる
付き合って2年
春には入籍をしようと決めていた
あたしは
熱いシャワーを浴び
フリースの上下に着替えた
いつもの部屋着
あっ
この色
オレンジのフリースだ
あの人にもらったものだ
数週間一緒に暮らしていた
あの人
まだ忘れられないでいた
小説家を目指していた人
父と同じ
煙草の匂いが心地よかった人
柔らかい 口髭が
好きだった人
あたしは
彼の腕の中で
あの人のことを想っていた
決めてしまった
誰からも反対されなかった
でも・・・
想いは
小さなマイクロに沢山残った
あの人の写メ
まだ 現像してない
きっと
忘れることはないだろう
このフリースを
着るたびに
あの人・・・
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