ダイアグラム/ホロウ・シカエルボク
排気ダクトから零れる風が
冬のうたを口ずさんでいる気がする
カラのジンのボトルみたいな太陽
アクロバティックな性格のクラウド
川の流れはゆっくりで
救急車は先を急いでいる
腰の曲がった老婆は限界を受け入れていて
その脇をすり抜けていく若者達はすべてを過信している
青いシグナルは点滅を繰り返す
信号待ちの似たようなフォルムの鉄の猪
ボリューム・ノブをMAXにまで回しているカー・ステレオから延々吐き出されるのは
往々にして耳に留める価値もないようなものばかり
真っ先に車道を横断するのは口笛のような風
オフィス・タウンにそびえるビルは大きなガラスのシールドをまと
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