「コンセントガール」/ベンジャミン
あれはまったく夢なんだ
夢を現実だと思ってしまう錯覚のようなものだ
さっきまで僕は読みかけの本に埋もれて
読みかけの本のストーリーの中にひっそりといて
自分がストーリーになることなんて考えてもいなかった
「ちょっとよろしいですか?」と
突然呼び止められた
「え? ぼ、僕のことですか?」と
僕の驚く様子など関係なしに
どこかの会社の制服を着た女性が
「はい。そうです。」と
すました顔でこたえた(少し悲しげだったように思う)
「あなたはずっとここにいて動かないままなのですね。」
「あなたは動かないのではなくて動けないというのが正解かしら?」
「あなたがそのま
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