詩を書く理由/一 二
 
幸せか不幸せかは
その人を取り巻く状況が
決定するのではない

幸か不幸を決めるのは
その人の思いなしだ

幸せを掴むためには
現実を直視してはいけない


現実に置かれた状況を認識せずに
現実の幸福に到達しようとする思想は
酷い錯覚を犯している
それは恐るべき虚無的な危険思想である


人がどれだけ理想を掲げようと
あるいは人の尊厳を守ろうとしても
現実のやることは
最初から最後まで別に変わらない
壊せそうなお伽噺を考えている奴を
とりあえず壊す
それだけの話だ


壊されようが
殺されようが
俺は毎日、命懸けで
詩を書き続ける
それは現実に対して
メンチを切っているのだ

メンチを切っているときの俺は
喜怒哀楽をフル起動させている
そこには
幸と不幸が混在している

けれどそんな気持ちで書いた詩を
誰かに「良い」と云って貰えたときは
とても幸せだ
そのときだけは現実を忘れられる
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