午後/生田
プルトップの切り口からこぼれゆく午後、雑踏に流れ、起きなかった戦争を数えて、少年。青から赤、取り残されて交差点、車から降りて地下鉄へと吸い込まれていく人、午後の渋滞は停滞し、静止し、た中でゴミ袋を裂いている烏。「それはとても苦しいものよ」妊娠線をなぞる手の平の指と指と間から漏れていく、ブリキとバナナの皮と使用済みのコンドームと。を咥えて烏は空に張られた線へと帰っていく。
午後に。筋肉が引きちぎれるくらいに彼方から手を振った、朽ちゆく午後に、シトシンとアデニンとグアニンまで思い出した僕は、あとひとつ、を思い出せず螺旋を描けない。これでは何者にもなれはしない。と、脳内物質に泣かされている。
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