ゆびもじ算数/板谷みきょう
手話言語を基本としたノンバーバルコミュニケーションの講義を
福祉医療系の専門学校でほぼ十五年間ほど続けていた。
その間に出会った生徒一人一人を
鮮明に覚えているかというと覚えきらない現実がある。
毎年、言語を習得し得ていない幼児から
言語理解力を失い始めた高齢者とも
コミュニケーションが可能になるかも知れない講義として
人気のある講義のひとつだったから
一年契約ながら十五年間も、毎年契約更新ができたのかも知れない。
その契約も去年で終わり、更新はならなかった。
学生の減少と資格に繋がらない講義だからと
更新されない理由を説明してはくれたけれども。
「指文
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