船出/番田
私の前を だんだんと また 通り過ぎていく
それは きっと 本当に美しい風景に思えたことだろう
私はそれを ビルの先から じっと見ていた
このくっきりとした その焦げ茶色の目で
だけどすべてが報われていくような気もした
*
しかし報われなかったとしてもそれはここにあるのだろう
建物のような形なのかもしれない
私の自転車に乗れなかったころの あの子供のように思えた
きっと ピアノが弾けなかった頃の 私の恐怖感のようなものだ
私の思いに任せた時どこに行くのか
ああ わからないけれど やはり 乗ってみなければ解らない
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