船出/番田
今日も何も手にしていない そして遠のいていく目の前の夕暮れに
ぼんやりと自分のことを思っている 誰かのことを
そして 思い浮かべる また遠のいては 私の中の人たちのことを
止むことのないこの流れていく壁の中で
自分の一体どこに行くのだろうかと たえず思っている
私のここで手にするものはいったい何だろうと考える
解らないけれど きっと 全ては確かだ そこで触れるほどに
形態が目の後ろでぼんやりと、ぼんやりとしていく
だけど数々の失敗をいつも繰り返してきたような気もする
建物が交差点を いくつもの道を抜けていく
その色とりどりのカラーをこの私の目に滲ませて
私
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