クリスマスの傾斜/田園
 
クリスマスの傾斜


ある盲目の糖尿病患者は公園に捨てられた。
恐怖と我が儘と、生々しい生をぶちまけた末に、ごみのように捨てられた。
医療現場という受け皿で、あってはならない事、ではあるが、数えきれない孤独とエゴとが、ただの人を翻弄する。

誰が自分を選べるだろう。
上流階級ならば?
いや中流だってなんとかなるだろうか。
しかし、しようもない物質や情報ばかりを集めていてささやかな家を守って、はたして中流にもなれているだろうか。
薄皮を一枚めくればすぐに、放置された全盲患者と姿がたぶる。

この世には貧しい貧しい社会というものが、必ず存在する。ピカソの描く
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