十九歳/砂木
 


よく平気で食べていられるな と言い
涙ぐんだのは 父母のほうだった

つられて泣きそうになったけど
残りのご飯を 口の中にかきこんでのみ込み
急いで二階の部屋に行ってドアを閉めた

働くって言ってるのに馬鹿にして
大袈裟なんだよ 馬鹿にするな
言い返す立場でもなく 結局泣いた

なんとか使って貰った会社でも
器用にこなせる事などひとつとしてなく
クビになれと言われてまでも それでも
現在にいたるまで 働いてこれたのは

働くと言ったら働くんだよ
働くと言って帰ってきたんだから働くんだよ

情けなさ過ぎて逆ギレした無一文の頃の
情けない怒りが 落ちる所
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