十九歳/砂木
三年は居ると思ったのに一年で帰ってきて
高校を卒業して都会で寮生活をしながら働いて
帰りたくて故郷に帰ったけど 親は怒った
だからお前には無理だから行くなと言ったのに
どこまでも行くといって出て行ったくせに
夜汽車で帰って 朝 ご飯を食べながら
ずっと父母の説教をきいた
三月の雪はまだまだ消えず
ストーブをつけ こたつに入りながら
ただ 黙って 箸を動かした
これからどうするのか
頑張り通せなかった私の未来は
父母にとって厄介な重荷のようだった
働くから と かろうじて言って
ただただ 茶碗のご飯だけみていた
あんなに茶碗の底を見ていた事もない
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