ぜんまいの炎/月見里司
 
路地は暗くなることはないが
電線に
からすの姿はない
石畳を虫が
あくまでも余所者として駆ける

ねじを巻くように
大挙して風が吹くが
無音のまま

中空はモノクロームに染
色されても沈黙を守る

雑居ビルの窓が
だいだい色の灯りを大写しにして
虫の目は悼むように
水路の底へ沈んでゆく

//2011年1月15日深夜
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