ドップラー効果の向こう側に 消え去っていく/真島正人
の町並みは流動して
どんどんどんどん
違う地図を作った
一方でこの場所はいつまでも剥げたまま
何にもないままの火達磨だ
僕はここにしゃがみこんで
頭に浮かんでくることを考える
頭に、
浮かんでくることしか考えることが出来ない
頭に浮かんで
くることしか考えられないから
風が
凪いだことすら気がつかない
風が凪いだ
ことすら気がつかないから
全部順番に ドミノ倒しに なっていく
涙がこぼれた こぼれた涙から 海がこぼれた
こぼれた海から 人間の肉体がこぼれた こんどは
ぼろりと、
音を立ててだ
盾を作れ
早く、
盾だ、盾
盾
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