僕はいつも君の方向に向かっていっては蒸発してしまう/真島正人
 
僕はいつも君の方向に
向かっていっては
蒸発してしまう
やだなぁ
なんて薄っぺらいんだろう
薄っぺらいからだよ
蒸発してもすぐにまた
ここにいるんだ

僕はいつも気管支に
空気みたいなものを
詰まらせてしまう
やだなぁ
形がないものなんて
つまらないのに
どうして形のないものほど
形のある場所の邪魔をするんだろう

町はあいまいに
動いていく
夜になると
家だったものが
別のものになって
あなたと会うための
旅を始める

小さな路地裏に迷い込んで
かかとをこつこつとたたくと
地獄のピアノの音みたいに聞こえる
あなたの見た夢が
通路全部を覆
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