海岸線、野道、ベッド、夢、都会の早朝/うめぜき
 


波が打ち寄せる
冬の海岸では、夏の抜け殻が永遠のようだ
水平線の彼方に摩天楼が広がる
闇夜を切り裂くネオンの宝石箱だ

名も知らぬ一輪の花に
そよ風が吹いている
揺れるその余韻には
母の口笛が隠されている

枕は冷たい
毎晩、君の体温を思い浮かべる
触れられるものと触れられないものとの間には
幼な子が夢中になる御伽の話がくべられていた

わたしたちの高らかな遠吠えも
あなたのなめらかな姿も
太陽の下で
美しかったり、美しくなかったりしていく

美しかったり、美しくなかったりして
魔法の解けていく夜空に
開かれていく青空
音符に変わる足音や交差点の騒音やらが
ハーモニーになっていく
都会に広がる田園
硬質な
スーツの衣擦れ



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