雪/雨音些末
 
あの雪の日の朝
君に抱かれたかった

珍しく
この街に
雪が降る予報が流れた
あの寒い朝

氷のように凍てた
いちまいのガラス窓の外
世界のすべてを
白く しろく
覆うはずの
まだ見ぬ雪景色に思いを馳せて
寒い朝の君を
抱きしめたくて

けれど
その前の日に
君が別れの準備を
そっとしていたことを知らずに
開いた携帯で
君にメールを打つ

 ねぇ
 雪が降るんだって

無邪気で
おろかな私

雪は
黙って降る

氷点下を示した
愛情の終わりの日を
白く覆いながら

しずかに
すべてを無にする
白で覆い隠す




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