残火の迷夢/久石ソナ
疲れに似た人の顔の
明かりが灯り
町は夜の静けさに
こわいよ、こわいよ、と繰り返す。
重ねられた寒さ
ほとばしる色も
今では滲みはじめて
口移しの温もりを
彷彿とさせる。
近づいてくる不穏な悲しみに
木々の影は揺れている。
こんなにも枯葉で散らかして
おこられるよ、って
こわい顔して立ちすくむ車の音
家から溢れる明かり
咆哮を許された
均等に並べられた街灯に
私は照され いつまでも
さ迷っていることに
耳元に印された風は
秋の冷たさと共に答えている。
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