君は君を助けてくれる寝言を/真島正人
イ
倍速で震えた
音楽
地下の震源地から
高級ホテルのボーイさんの
上唇に残ってる
リップクリーム
エッチな本ばかり
置いてある本屋さんの
二階の戸棚の
ドゥルーズとか
高島屋の8階の
スポーツ用品置き場の
薄い影とかに
誰かの寝言が隠れているよ
寝言はとても
大切なんだよ
それはそれひとつで
生きているものさ
寝言が
君の事を思い出した
君は寝言を放り投げた
口からはみ出した寝言は
ずっとさびしかった
寝言の時間は
僕たちの時間とは
違う
寝言はあの夜からずっと
同じ場所にいて
君の口に戻りたがってる
君は
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