あのころはスターを目指していた俺。/番田 
 

何でもない流れの中で飛び出していく
それは確かではないけれど 自分にとっては 確かだ
水の投げ出された噴水のように はっきりとしている
回転しているフラフープのように


自分にとって確かなものを探したいのだ
喫茶店の奥で息を潜めながら いつも そう思っている
描かれたものなど すべて 消失してしまった
井戸端会議の中の笑い話の一つにもなりはしない
それは少しだけ寂しいことのようにも思える


エレキギターを弾いていたのはもう遠い昔のこと
自分の事ではないように思えるのは 楽しい
何もかもが流れ出していくようで 素晴らしい
一人で寂しい歌でも歌っていたいものだ
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