夢夢夢。/番田 
 
は命を燃やすのかも知れない。ああいったものは人間の心を破壊することにしか向かわない。幸せを与えながら、内側に存在するものを奪っていく。



池の畔で静かに釣り糸を垂れている。魚は釣れることはないだろう。だけどこの酷寒の中でも私は期待してアタリを待ち続ける。魚が釣れたときの私がそこでスライド写真のように思い浮かぶ。私は魚を釣るのだと思う。夕暮れが沈む前のこの湖畔で。静かな波が打ち寄せている。浮き上がる涙にまみれて情景が少しだけぼやける。幻のようだと私はそのとき思った。一日が刻々と終わりを告げる。人並みがどんな街でも別れを告げることだろう。出会う人の数はわずかだ。その音を私はそこで耳にした
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