広すぎて あまりに広すぎて/ポー
一人でいるには この家は
あまりに 広すぎて…
何をしようもなく
何をすることもなく
ただ 僕のまわりの空気が異様に冷たくて
ただ ぽつりと懐かしき日々を描いて
いつかどこかで出会った
怯えた迷う子猫の幻影を見ている
どこか僕に似ていた
モロはもういない
公園猫モロは 少し寒くなり出した秋の夜
僕の前から 消えてしまった
毎夜 モロと遊ぶのを楽しみにしていた日々が
とても遠く感じている
あの時 モロを飼わなくてよかった
この広すぎる家に 僕と二人では寂しかろう
殻の中
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