あゆむひと/恋月 ぴの
 
ひと昔もふた昔も前みたいに霜柱立ったり
ちょっとした水溜りに氷張ったりするわけじゃないけど
それでも今どきの朝って起きるの辛かったりする

とりあえずは出かける場所があって
帰ってこれる場所があるのに
それでも、ついつい起きたくないなあって思ってしまう

ふとんのなかはぬくぬくあったかで
おまえのにおいがするなって彼氏に言われたけど
枕にしみこんだ涙の理由までは教えていない

起きなきゃいけない時間になってしまったんだよね

いっそこのまま起きなくてもよいのだと思い込もうとしても
結局はふとんのなかから這い出てしまうのだから
当たり前のことをもっと大切にしたいもの
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