ざんぞう/玉兎
 


こんがらがった むつかしい きもち
すれちがっていく つむじかぜに
ふりかえりつつ かたを すぼめ
どこにも ひらいては ゆけない

げんざいち しめしては
また たちどまり
せなかを とおりすぎてゆく

そして また ろじを
どこへともなく まがってみたりする
きみのうしろすがたの ざんぞう

さよなら さよなら
くちびるを うごかし
こえでなぞることを
まだ したくない

とおざかる いんりょく
はっきりと ぼくのなかに
うっすらと まぼろし


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