夜をなぞる歌/あまね
 
しさとむさぼりを連ねて
怒り、ねたみ、
傷つけるくせに
祈るのをやめないのは
なぜだろう?
だれも教えてくれなかったので
見捨てないでください、
放っておかないでください、と
こいねがう歌のすべてに
耳をかたむけて
抱擁のふりをする
偽り


禍々しい星が
冷たくたぎるように
すがるものたちを
切りさいて 引きちぎって
憎み、狂い、もだえる
真っ暗なわずらいが
もっと暗いわずらいに
飲み込まれつづける夢をみる


いっさいの流れに
ありのまま
ひとしく身をまかせることだけを
もとめるはずだったのに
ぼくは遠ざかってしまった
遠ざかってしまった
ちっぽけな人形です
光がおとずれるまで
痛みを紡ぎ
悲しみを織ることを

ゆるしてください






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