掌観覧車/
たもつ
掌に観覧車
小さなゴンドラを覗くと
四人の家族が納まっている
父も母もまだ若かった
兄も私もまだ幼かった
それがまるで
ずっと続くかのように
ポケットに観覧車をしまう
思い出さなくても済むことを
時々思い出したくなる
誰が乗ろうと言い出したのだろう
寂れたアウトレットモールの観覧車から
あきらめかけている妻と
思春期を迎えた娘とが
それぞれの思いで
それぞれの景色を眺めている
時や人は繋がろうとする
多少いびつであったとしても
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