ブリティッシュグリーン/はだいろ
濁った窓から
冬の垂直な日が部屋の壁まで届く
真空管のなか
あの日のこころの蠢きを泳がす
それはあまりに遠い日なので
曲げた腕の面積では
足りない計算式のように
触れることのできない感情だ
唐突な性交で夏は終わる
後はただ
濃くなってゆく蔭のことを
どんな唄のなかに詠まれるのかを
夢のなかに訪ねるだけ
橋の手前に俺が欲しい車が停めてあり
サイドシートに俺が欲しい女が座っており
俺はポケットに手をつっこんだまま
いま、死が古い友達のように
ポストに、ことん、と一枚の手紙を置いた
その気配を聞いた
新聞では
ビンテージポスターのような街の
天気予報を知
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