白桃/橘祐介
 
白桃をがぶりと食べた
君がくれた白桃だ
もう一つせがんだ
君はもう一つくれた

彼女は手ぶらになっている
もう一つくれとせがんだ
もうないのよ彼女
ちょっぴり肩をすくめた

それは、とても、とても
遠い町から買ってきたものだった
仲良く一個づつ食べようと

自分の分まで食べさせてくれた
それに気がついたのは
自分が父親になってからだった


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