ある日の夜明け/
たりぽん(大理 奔)
を雪雲が低く覆っているので
こんなにもうっすらと
行方をぼんやりとさせるのです
世界と自分を隔てていたものが
この皮膚ではないと予感したから
何も捨てることなく
そのドアを開けて出かけるのです
薄暗い街で
ぼんやりとした今日の始まりを
いつもの歩幅で切り取りながら
始発の路面電車が弦で火花を散らして
湿った汽笛を鳴らしたようです
戻る
編
削
Point
(7)