ある日の夜明け/たりぽん(大理 奔)
 
を雪雲が低く覆っているので
こんなにもうっすらと
行方をぼんやりとさせるのです

  世界と自分を隔てていたものが
  この皮膚ではないと予感したから
  何も捨てることなく
  そのドアを開けて出かけるのです

薄暗い街で
ぼんやりとした今日の始まりを
いつもの歩幅で切り取りながら

  始発の路面電車が弦で火花を散らして
  湿った汽笛を鳴らしたようです  



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